English Notes.

映画、ドラマ、本、Youtube、Podcastなどからまとめた英語と勉強方法。

英語と日本語の現実認識の違い。

日本語と英語にはそれぞれ異なる考え方やperspective(視点)または世界認識がある。

 

「言語が異なれば認識する世界が異なる」という考えはPost-Structuralismポスト構造主義や、言語心理学、哲学における一つの思想です。言い換えれば、言語が世界と自分の間に媒介することで、世界の認識(自分なりの現実認識)が可能になるということです。私は英語を学び、英語”で”学ぶことが自然となったある時から、この言語と現実認識の関係性を実際に感じるようになりました。今回の投稿では、日本語と英語の考え方の違いを、それぞれの文法の違いから理解します。こうした違いを新しい言語(英語)を学ぶ前に理解しておくことで、言語学習のスピードが上がることが期待されます。

 

「言語について考えることの面白さ」についても書いてます。

 

英語と日本語の違いについての具体的な例は、

  1. 英語は三人称視点。日本語は一人称視点。
  2. 英語は文の頭に重点を。日本語は文の終わりに重点を。
  3. 英語は展開していくイメージ。日本語は収束していくイメージ。

などの違い、特徴です。

 

 

①一人称視点と三人称視点。主語の有無。

日本語では、特に話し言葉の場合、主語の「私は、あなたは」を入れる話し方は不自然な文法と考えられています。一方で英語では、常に「I、YOU」などの主語を入れています。この違いは人称視点の点で大きな違いを生みます。

 

以前に聞いた話では、川端康成の「雪国」の冒頭の

トンネルを抜けると雪国であった

という文を聞いた日本語話者と英語話者は異なる景色を思い描くと言われています。風景を絵に描いてもらうと視点が異なるのです。日本語話者は行為主である語り手の一人称へ入り込み、「電車の中から窓の外を眺める」視点をイメージするのに対し、英語話者はいわゆる神の視点(三人称)によって「上空から俯瞰する形で、トンネルを抜ける電車」をイメージするそうです。この違いが生まれるのは、日本語の特徴である主語の欠落は、行為や風景が誰の視点であるのかを自然とイメージし共有することが可能であることを意味しますが、英語では主語の欠落が不可能であるために「電車」と言う主語を表す必要があるのです。従って英訳文では

The train came out of the long border turnnell - and there was the snow country.

と訳されており、主語の明示のために日本語は異なる情景のイメージを抱くのです。

 

つまり、日本語では一人称視点を自由に他者と共有することができる一方で、英語では常に自分を含めた第三者視点で物事のイメージを処理するのです。このことを意識することで " I ...  You ... That ... It ...." などの日本語話者からすると違和感のある主語の明示を感覚的、視覚的に理解することができ、英語を通じて見る世界を認識することができるかもしれません。

 

 

②メインの情報の場所。

  • (英)◎<<<<< 
  • (日)>>>>>>>◎

日本語では最も重要な情報(動詞)は基本的に文の最後に来ますが、英語では最初(正確には主語の次)に来ます。したがって、英語は最初の三語程度がメインの情報を提示し、文全体の文脈を決定するのです。一方で日本語は、最後の単語を含めることで初めて文全体の性格をつかめることができるのです。

これは日本語と英語のライティングの形式の違いにも現れています。極端な例としてよく挙げられるのが、「英語は最初に一番重要な情報または結論を書く、そしてそのあとにサポートとしての情報を足していく」です。これを図で表すと、

(結論)➡(理由)であり、直線的です。

一方で「日本語は理由から述べて、最後に結論を書く」型になる傾向が。日本語の文法上あります。したがって、英語などを第一言語とする教授などが日本語を第一言語とする学生の英語ライティングを読むと、「何が言いたいのか最後まで分からない」といった印象を受けることがあると言われています。図では、

(理由)➡ (結論)で外側から渦巻き状に、内側(結論)へと話が進んでいくイメージです。

 

こうしたメインの情報の位置を理解しておくと、英語のリスニング、スピーキングにおいてより良い理解と発信が行えるようになるかもしれません。

 

 

③展開と収束。修飾の仕方。

これは上記の考えと似ているのですが、日本語では文を修飾する(情報を足していく)時に、最後にくるメインの情報に対して前から修飾語を並べていきます。一方で、英語では最初のきたメインの情報に対して後ろから修飾していきます。

一番この特徴を表しているのは、WhichやThatの関係代名詞の使い方です。先にメインとなる名詞や文を述べて、後ろから情報を足していくといった日本語には無い英語特有(他言語含む)の文法です。

こうした特徴から、日本語では意味の修飾や情報が名詞に対して収束していくのに対し、英語では後方へと展開していきます。

 

 

 

まとめ

このような文法の違いを理解することで、その言語特有の現実認識の方法や、情報や意味の組み立て方、意味の重心などを感覚的に理解することに繋がります。新しい言語を習得する上で大きなアドバンテージとなるでしょう。

 

 

 

*随時更新中